こんなに違うの?食育への取り組み~日本の給食、海外の給食

日本では、小学校入学から中学校卒業までの9年間、昼食は弁当ではなく学校給食を食べています。

学校給食は全国の公立の小学校で100%、中学校で90%もの普及率となっています。

アメリカの「ワシントンポスト紙」、ドイツの「フランクフルター・ルントシャウ紙」、中国の「成都商報紙」など海外メディアで日本の学校給食が紹介され、「日本の子供は学校給食から多くのことを学んでいる!」と驚きの声があがっています。

日本の学校給食の始まりと歴史

日本で学校給食が始まったのは、約130年前、山形県鶴岡市にある私立忠愛小学校でした。当時は家が貧しいため、お弁当を持参できず、成長期でありながらお腹を空かした子供がたくさんいました。

そこで、学校を設立したお坊さんたちが無料で「おにぎり、塩鮭、漬物」といったシンプルな昼食を用意したことが始まりです。育ちざかりの子供にとって、昼食をしっかり食べられることは成長のために大きな助けとなったことでしょう。

学校給食の在り方は、関東大震災や太平洋戦争を経て大きく揺らぎましが、1954年には法律で学校給食の提供が定められ、学校給食は全国的に普及しました。

バラエティに富んだ日本の学校給食の日本一は?

現在の日本の学校給食は大きな変化を遂げています。四季折々の食材や地域ならではの郷土食がメニューに取り入れられたり、子供が自分で栄養バランスまで考えて料理を選ぶバイキング形式の給食、2パターン以上の給食から選ぶセレクト形式の給食など、バラエティに富んだものとなっています。

日本一の学校給食を紹介しましょう。2015年に行われた第10回学校給食甲子園で優勝した群馬県代表の給食です。

メニューはこめっこパン、牛乳、上州豚のアップルジンジャーソースがけ、こんにゃく海藻サラダ、のり塩ポテト、根菜のミネストローネ、手作りブルージャムの全6品です。

この地区では、街の農政やブランド推進室など各所の連携により、雪の季節にもブルーベリーが年間を通じて使えるよう冷凍保存されているなど、地場の食材がいつでも手に入るよう配慮されています。

文部科学省の主催により、食育の啓発のために行われているコンテストですが、全国的にこうした情報交換を重ねることで、年々献立の内容が充実しています。

日本の学校給食は、食にまつわる学びの場

海外で驚嘆と絶賛を受けている日本の学校給食ですが、単なる昼食ではなく、教育の一環と考えられていることがその一因といえるでしょう。

食べることで子供の健康な心と身体を育むことはもちろん、日本の食文化や食についての知識、食べる楽しさ、食事や生活のマナーなどを身に付け、食材を生み出す自然や料理を作ってくれた人への感謝の気持ちを学ぶ場として位置付けられています。

「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶、料理を子供たち自身で運んで取り分ける、食事が済んだら食器は自分で片づけるなど、食にまつわる生活習慣やマナーについても学びます。

アメリカの学校給食と比較すると、どうでしょう。ニューヨークの給食管理部の人々は、日本人の美徳であるマナーを学ぶ学校給食の現場に感銘を受け「ニューヨークの学校給食で同じことをやるには時間がかかる。でも前に進むために取り組みを始めたい」と話しています。

食べる力を育てるシンガポールの学校給食

アジアの学校給食の現場はどうなのか、比較してみましょう。

東南アジアの多民族国家であるシンガポールは多様な文化が溢れる国です。子供たちにとって、仲間と一緒に食事をすることが、既に異文化体験の場となっています。

幼稚園で出される給食では宗教に配慮した給食が用意されています。

牛肉や豚肉の使用は控え、白身魚・鶏肉・野菜で作られます。化学調味料不使用・塩分控えめといった身体に優しい味付けにこだわり、子供が好きなカラフルな色合いの食器に盛り付けるなど、子供の食べる意欲を増進させる工夫をしています。

食事の回数は、1日3回、おやつも出ます。おやつといっても発育に役立つような、おかゆ・マカロニスープ・お肉と野菜の饅頭などが選ばれています。カヤトーストなど、地元で人気のローカルフードも提供されます。

お皿に並べられた食材を使い、自分でサンドイッチを作ったり、果物の切り口を確認して食べるなど、食の体験を重ねることで食への関心を高め、発育のために重要な「食べる力」を育てています。

まとめ

日本の学校給食は、海外から「食に関するマナーが素晴らしい」「自分の子供も日本の学校に入学させたい」などと絶賛されています。

日常生活で役立つさりげないマナーは、学校給食から学んだことなのですね。

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